入院物語 ④  うつ伏せ地獄

入院中の診察は朝九時前後の一日一回、あとは基本的にベッドで寝ていなければならない。診察を除き、起きて良いのは食事時、トイレ、それにシャワー室への行き来のみである。網膜を圧着させるため、眼球内に特殊ガスが注入されている。そしてガス圧を高めるために、ベッドでは写真のような「うつ伏せ状態」をとるよう指導される。枕を抱えての前屈みやテーブルに伏せているときは、苦しいながらもマニュアル通りで良いのだが、寝るときはこうはいかない。
うつ伏せに寝るための特別なグッズはなく、自分で工夫しなければならない。借りた大き目の枕二つを胸と腹の下に敷き、タオルケットを固めに丸めたて枕に額を置く。左側に寄っているのは寝返りをうてないようにするための工夫だ。それでも知らぬ間にあおむけ気味の姿勢をとっていると、昼夜を問わず起こされ注意された。
「うつ伏せ地獄」は丸一週間続き、正直この間は慢性寝不足状態だった。八日目からベッドを立てての「仰向け」が許されたが、起きてるときは「60度」、寝るときは「30度」の条件付き。大分楽にはなったが、またもや問題が、、、このまま仰向けになってると段々体が下にずり落ちるのだ。対策として足元を持ち上げ腰を落とす姿勢をとるのだが、熟睡するのは難しかった。
結局最後までこのベッドスタイルで過ごすことになり、フラットなベッドで寝ることが夢にまででてくるようになった、、、(つづく)