2015春 山陰・九州の旅(十八日目) 九州最後の走り 

5月22日(金) 薄曇り
九州最後のこのホテル、二食付いて5千円未満の安さ。昨夜の晩飯は7品目から「唐揚げ付きハンバーグ」をチョイス(写真はキャベツ主体のサラダを食べ終わったもの)、そして今朝の和朝食、値段からみれば十分な食事だった。ただし、部屋は推して知るべしである。
8時半、ホテル出発。元気なうちにキツいところへと先ずは熊野磨崖仏に向かう。国東のお寺はどこも山奥で走りに苦労するだろうと思っていたが、十分整備され路幅の広い舗装道路が続いている。それにお寺名付きの道標が多いから非常に走りやすかった。
40分ほどで到着。一番乗りかと思っていたが、どうしてどうして、もう何組かは石段を降りてきている。拝観料200円を徴収され杖を持ってくよう忠告を受けて、イザ出発。
鳥居の前でもうヘロヘロ、ここから先は鬼が一晩で作ったとされる石の階段だ。山寺立石寺で覚えたカメラ好きを装い、5段上がっては写真を撮り、3段上がってはデジカメを構えること十数度、ようやく磨崖仏が見えるところに到達する。
右側が大日如来、左側が不動明王、息が弾んでまともに見えなかったが、落ち着いてくれば実に良いお顔をされている。しばらく見とれた後、今度は帰り路。石段は下りのほうが怖い。滑って足でも痛めたらバイクにも乗れなくなるので慎重に下りる。幸い石が乾いていたので事なきを得た。
磨崖仏から近い「真木大堂」に寄る。拝観料200円を払い、国宝の仏像三体にご対面。撮影禁止だが、一人をいいコトに片隅にあった椅子を持ち出し、テープの説明に耳を傾けながらじっくり拝観することができた。
つまらなかったのは、次の「富貴寺」。境内に入るとお堂はあるが閉まったまま。ちょっと下った本堂に回ってもまるっきり仏像は見えない。この間たったの5分、これで200円はチト高いゾ。

良かったのは「天念寺」。見つけ難いところにあったが、物産館のオバチャンに教えてもらい見ることができた。場所の以外性とユニークな顔立ちに心が和む。小腹も空いたのでさっきのオバチャンのところで「ざるそば700円」を食べる。宇佐神宮から4日かけて両子寺まで踏破する修行の人たちが渡る頂上付近の「無明橋」が、ここから見えることをオバチャンが教えてくれた。旅番組では定番の、正しく天空の橋だった。
寺巡りのシメは「両子寺」。このへんでは一番大きいということで境内の広さは今までと桁違い、拝観料も300円だった。もう坂道や石段を上る気力もなく、境内をぶらぶらする。カミさんがいたら霊気を感じるんだろうが、ワタシャ寄ってくるムシを追い払うのが精一杯だった。
ここから山道を東にほぼまっすぐ下り、道の駅「くにさき」に出る。観光案内所でマップを探していたら白人の職員が親切に応対してくれた。地方の国際化、なかなかのものがある。国道213号線を北に上がり道の駅「くにみ」に寄る。対岸の「姫島」、車海老や鯛など養殖業が盛んなところでいつか行ってみたいところだ。
次に中津に向かう。しばらくは追い越し禁止の黄色線が引かれた片道一車線道路が続く。(?)マーク付きの車が自転車より遅いスピードで走るものだから長い渋滞行列ができることがしばしばあり、大分時間が掛かってしまった。
ようやくキンピカの再現された中津城に到着。入場料は400円とチト高い。城の最初の主は黒田如水、その後細川忠興の隠居城となって大分様変わりしたようだ。見所といえば両家の石垣の積み方が分かるところだけかな。細川家の後は奥平家が治めたようだが、ナント、奥平家の末裔(俳優ではない)が「アンと花子」の中で重要な役割をしたとは知らなかった。ミナサマ、お調べあれ。
もう三時を回っていたのでレトロ門司港行きはあきらめ、フェリー乗り場に直交することにする。昨夜予約した際、船内には自販機だけしかないというので、中津市内のスーパーに寄り食料、酒・焼酎のワンカップ、ツマミ類を仕込む。
一般道では自転車並みの車がいると困るので、ここからは高速を利用する。高速はガラガラで順調に走り、ちょっと余裕ができたので吉志P.Aに入り「吉志ラーメンセット750円」で早晩飯を食べた。
五時半、新門司フェリー乗り場に到着。ここからは便がいろいろあるので「徳島・東京行き」を探すのにちょっと苦労した。駐輪場には大型バイクがズラリと並んでいる。東京まで大人二等料金14880円とバイク料金12650円を払い、乗船手続きを済ます。
6時15分過ぎ、バイクの乗船が始まる二等船室は雑魚寝の大部屋でみんなバイク野郎だった。コテコテのハーレーおじさん(バンダナ、ベスト、パンツ、ブーツはすべてH.Dマーク入り革製)の隣で寝ることになったが、あとで大変な目にあうことになる。
7時を少しまわって新門司を出航する。
着替えを済ませ荷物を整理後、係員に聞いてコンセントが使えるサロンに行く。自販機で金麦500mlを購入、PCを開き写真の整理や今日一日の出来事をまとめながら持参のツマミで一杯やる。石段上りが効き、さすがに今日は疲れた。9時を過ぎて船室に戻るが、コテコテおじさんと二、三、言葉をかわしたあとすうっと寝込んでしまった。