お袋の漬物

寒波の影響で時折横殴りの雪になるが、積もるまでには至らない。昨日までの3日間ほど横浜で春のような陽気の中にいたせいか、冬がぶり返した今日の寒さが身に染みる。
今晩のBSプレミアム「新日本風土記」は漬物の話だった。取り上げた漬物は、野沢菜、広島菜、京都の千枚漬け、飛騨・種蔵の紅かぶ、江戸のべったら、小倉のぬか漬け、塩で水気を抜いたブリをはさんだカブを麹で漬けた金沢のかぶら寿司、etc. ナレーションで「ふるさとの数だけ漬物がある」と言っていたが、それこそ私のガキの時代なら「家の数だけ漬物があった」のではなかろうか。
我が家にも糠漬けの瓶があったような気がするし、小さな樽を使ってたナスの一夜漬けもあった。一番大掛かりだったのが冬の保存食である沢庵作りだったように思う。
小路の奥の貧乏長屋で日当たりは良くなかったが、秋も深まると西日が当たる二階から何日も大根を干し、いい加減しんなりすると樽に塩漬けする。冬の朝食はのオカズといえば、この白い沢庵だけだった。今流で言えば美味しさの代名詞「手作りで無添加の自然食」だが、子供心に市販の「真っ黄っ黄のコウコウ」の方が好きだった。昭和30年代半ばまでは作っていたと思うが、いつの間にか食卓から消えてしまった。
番組をみていて、「オールデェイズ三丁目の夕日」の遠い昔を思い出していた。