南氷洋の思い出

朝からずっと雨。二時ごろが一番強く,その後夕方には上がったが気温も低くまだまだ寒い日が続いている。

BSで「フローズンプラネット」が始まった。北極・南極の自然を記録した番組で前から楽しみにしていたものだ。

1976年(昭和51年)の冬,「鯨肉買付事業」の応援で南氷洋へ行った。
冷凍加工船(9040トン)に乗船し11月中旬に横須賀を出港。約1カ月かかって南氷洋に到着しソ連捕鯨母船と会合した。ソ連側が捕獲したミンククジラの赤肉を洋上で買付するもので,仕事は鯨肉の秤をソ連側と確認する検貫だった。
南極大陸を見るところまでは行かなかったが,氷山の美しさ,ペンギンやアザラシの愛らしさ,時化の怖さが忘れられない。氷山の氷で飲んだ酒も美味かった。

一番辛かったのは,3月下旬に大阪港に入るまで無寄港で仲積(補給)船もなかったこと。ソ連母船から燃油は補給したが,野菜類は出港時に積み込んだものだけで航海後半には,玉ねぎ,じゃがいも,紫キャベツを細々と食べていた。
当然,内地からの手紙,差入れもないから精神的にも厳しかった。

あれからもう40年近く,番組を観ながら南氷洋でのことを思い出してみたい。